江戸時代の寿司|基本と押さえどころ
江戸時代の寿司は、いま握りと呼ぶものより二倍ほど大きく、屋台で立ったまま食べる軽食でした。冷蔵の手立てがない時代の工夫が、そのまま形になっています。
概要
屋台の食べ物でした。江戸時代の後期に広まった握り寿司は、屋台で売られる手軽な軽食で、一貫が今の二倍ほど、おにぎりに近い大きさだったと伝えられます。冷やして保つ手立てがないため、ねたは酢で締める、しょうゆやたれに漬ける、煮る、ゆでるといった仕込みを施すのが当たり前でした。それ以前は魚と飯を漬け込んで発酵させる保存食としての寿司が主流で、江戸の握りは発酵を待たずに酢で味をつける早ずしの系統にあたります。酢飯もわさびも、味と日持ちの両方を担う役割を持っていました。
押さえどころ
- 握り寿司が広まったのは江戸時代の後期とされます。
- 屋台で立ち食いする軽食で、一貫は今の二倍ほどの大きさでした。
- 冷蔵の手立てがないため、ねたは酢締め、漬け、煮る、ゆでるのいずれかで仕込みました。
- それ以前の寿司は、飯と魚を漬け込んで発酵させる保存食でした。
- 酢飯を使う早ずしが、待たずに食べられる形として広がりました。
- 江戸前とは、江戸の前の海で獲れた魚を使うという意味合いでした。
具体例
- こはだの酢締め … 酢で日持ちさせる代表的な仕込み
- まぐろの漬け … しょうゆに漬けて保存性と味を両立させた形
- 煮あなご … 煮てから甘いたれを塗る仕込み
- ゆでえび … 火を通してから握る形
- 玉子焼き … 屋台の時代からある定番のねた
- 押し寿司・箱寿司 … 握り以前から続く形
実践のコツ
- 家で江戸前らしさを出すなら、ねたに一手間を加えてください。漬けや酢締めだけで味が変わります。
- まぐろの漬けはしょうゆ2、みりん1の割合に15分。刺身用の表示があるものを使ってください。
- 酢飯は米3合に酢60ml、砂糖大さじ2、塩小さじ2が扱いやすい割合です。
講師への質問
- 江戸時代の寿司は今より大きかったのですか
- およそ二倍と伝えられます。屋台で一つ二つ食べれば足りる軽食で、今のように何貫も並べる食べ方ではありませんでした。
- なぜねたに手を加えていたのですか
- 冷やして保つ手立てがなかったからです。酢で締める、しょうゆに漬ける、煮る。日持ちさせる工夫が、そのまま味の個性になりました。
- 家で当時の雰囲気を出すにはどうすればいいですか
- 漬けと煮あなご、こはだをそろえ、酢飯をやや強めに効かせてください。大ぶりに握ると、その頃の姿に近づきます。