刺身包丁|選び方・使い方・手入れ
刺身包丁は、切り口の美しさで魚の味そのものを変えてしまう道具です。刃渡りが長く片刃なので、手前に一度引くだけで身をつぶさずに切り分けられます。選び方と使い方、研ぎと日々の手入れまでお話しします。
刺身包丁とは
刺身包丁は、魚の身を引くように切るための細長い包丁です。刃渡りは21〜27cmほど、片刃が主流で、押して切るのではなく手前へ一度引いて切り離す設計になっています。
種類と違い
- 柳刃:先が尖った形で、刃渡りが長く引き切りに向きます。西日本で広く使われてきた形です。
- 蛸引き:先が四角く切り落とされた形で、まっすぐ引きやすいのが持ち味です。東日本で使われてきました。
- 両刃のタイプ:左右どちらの手でも扱え、研ぎも普通の包丁と同じ感覚でできます。
- ステンレス製:さびにくく手入れが楽な反面、切れ味の持ちは鋼に一歩譲ります。
- 鋼(はがね)製:切れ味は鋭いものの、使ったらすぐ拭かないとさびが出ます。
- 刃渡り21cmの小型:家庭のまな板とシンクに収まり、扱いやすい大きさです。
選び方
- まず刃渡りを決めます。家庭のまな板は40cm前後が多いので、21cmが扱いやすい上限の目安です。
- 利き手を確かめてください。片刃は右利き用と左利き用が別物で、左利きの方が右利き用を使うと切り口が斜めに逃げます。
- 手入れの手間で材質を選びます。毎回すぐ拭ける方は鋼、洗って伏せておく使い方ならステンレスが向きます。
- 柄を握って重心を見ます。刃元に重さが寄っているものは、引くときに手が振られず安定します。
使い方
- 刃元をさくの手前に当て、刃の長さを目いっぱい使って手前へ一度で引きます。往復させると断面が毛羽立ちます。
- 切ったら一切れずつ刃の右側に倒し、包丁は拭かずにそのまま次へ。身を寄せ集めないほうが角が立ちます。
- 使う前に濡らして布巾で拭いておくと、身が刃に張り付かず離れがよくなります。
お手入れ
- 使い終わったらすぐ湯ではなく水で洗い、乾いた布で水気を完全に拭き取ります。
- 月に一度は中砥で研ぎ、片刃は表を8割、裏を2割の力配分で当てます。
- しまうときは刃に薄く油を塗り、乾いた鞘か包丁差しへ。濡れたシンク下に置くとさびの元です。
講師への質問
- 切り口がぼろぼろになるときはどうすればいいですか
- 刃を往復させているのが原因です。刃元から切っ先まで使って手前へ一度で引き切ってください。それでも荒れるなら研ぎ時です。
- 普通の三徳包丁で代用するときはどうすればいいですか
- 刃渡りが短い分、二度に分けず一回で引ける厚さに切ります。角度を寝かせて薄めにそぎ切りにすると断面が整います。
- 研ぎに自信がないときはどうすればいいですか
- 片刃は裏を平らに保つのが要です。裏押しだけ軽く一回、表を数回で十分ですから、削りすぎないことを心がけてください。